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宮ア 祥郎 新津商工会議所 議員 
健康と住宅

 人が暮らす環境即ち住宅の中で、健康という言葉がよく聞かれるようになった。昔は住宅の中で健康が問われる事などあまりなかったように思う。使われた材料も、木、石、土、紙、植物など、天然素材だけであったので、人に害を及ぼすような物は一切なかった。ただ冷暖房とか衛生設備の面では、快適とは言えなかったと思う。
 先日、ある雑誌に人間の住環境に適した素材は何なのか?という事で、ある実験データーが紹介されていた。静岡大学農学部で行った実験で、マウスを3種類(コンクリート製、木製、鉄製)の巣箱で飼育し、その生態を観察する実験である。その巣箱で生まれた子マウスの23日間の生存率が、木製で育った子マウスは85.1%、鉄製で育った子マウスは41.0%、コンクリートの場合は6.9%だった。コンクリート製の場合、130匹生まれてきた子マウスも23日後には9匹しか生き残る事が出来なかったのである。次にコンクリート製の巣箱の隣りに異なる材質の床材を使った部屋を作り、行き来できるようにして、どちらの部屋を休憩の場として好むかを観察した。順位は、@杉A合板BヒノキCクッションフロアD塗装合板EコンクリートFアルミニウムとなった。マウスに限らず野生動物は、本能によって行動するから、安全な方に行くのは当然であるから、これらは命にやさしい順番といっていいと思う。同様の実験を名古屋大学農学部でもやっている。マウスの妊娠、出産、哺育と子の成長について観察している。コンクリートやアルミの巣箱は、子に哺乳しないで捕食(親が子を食べる)という異常行動をおこした。これに対し木製の巣箱では、そんな異常は一例もなかった。コンクリートやアルミによる体温低下によるストレスが要因らしい。いずれにしても、木の温もり、温かさは、人間にとっても住みよい環境の一つである事はこの実験からも明らかであると思う。
 今、住宅における様々な問題がいわれている。建材・家具などからでる化学物質による「シックハウス症候群」、結露などからくるカビ、高気密・高断熱に伴う換気の問題などけっして健康に暮らせるとは言い難いことが起きている。人間が安心して健康に暮らせる環境とは、何なんだろう。昔から使われてきた良い素材を、もう一度科学的見地から見直してみてはどうだろうか。無垢の木の温もり、調湿効果・保温性の高い土壁、カビの生えない漆喰などなどたくさんある。これに新しい技術を注入して、気密・断熱・除湿・冷暖房・換気の五つの要素をバランスよく取り入れれば、すばらしい健康住宅が出来ると思う。
 私も、住宅建築資材販売という建築業界の中に身を置く者として、人が安心して健康的に住める家作りに何がベストなのかを考えながら、精進していく所存である。